ストレスチェックの実際

平成27年12月から50人以上の事業場で実施義務、ストレスチェック制度について、導入が近ずいてくると、質問が舞い込んできます。

弊社の場合は、ストレスチェックSelf を用いての制度づくり経験 もしくは職業性ストレス簡易調査票を用いての制度作り経験からの話にはなりますので、27年12月からの法律の内容と同じではありませんが、役に立つと思うので、記載してみます。

ストレスチェックそのものを企業で実施したことがない場合は、ストレスチェックを実施したらどうなるのかがシュミレーションしにくいようです。

今回の法律は単純にストレスチェックをしましょう。というものではないので、仕組みを運用したことがないと分かりづらいと思います。

また、今までのかなり先進的に取り組んでいる企業でもやり方が異なったりすると、不安があるものだと思います。

まず、ストレスチェックを自社での実施か外部委託かで、方策は随分異なります。

自社での実施であれば、個人情報の保護から管理までどのような仕組みを作るかがとても煩雑になるので、大変だと思います。

外部委託の場合は、ストレスチェックの実施から回答まで外部で実施してくれるわけですから、ストレスチェックの回答を得るまでさほど大変ではありません。

外注企業によってまちまちかもしれませんが、個人情報の保護は外部企業が責任を持ってしてくれるわけですから、安心できる業者を選ぶ、それだけで良いかと思います。

一つの観点はPマーク取得「あり」、「なし」と思います。

用紙タイプであってもWEBタイプであっても、一長一短があるので、両方を混ぜるを含めて3パターンで検討されたら良いと思います。

さて、実施に際し企業の中で気をつけることは、衛生委員会の運営、実際にどのような位置づけで体制を組むのか、といったことだと思います。

安全活動が活発な企業でいえば、安全ですでに安全委員会が機能しているので、そこに衛生面、メンタルヘルスをどのように位置づけるかを検討していくことから始まるかと思います。こちらは実績があるので、安全衛生委員会にしてしまうと、スムーズに行くことでしょう。

問題なのは安全衛生委員会がほとんど機能していない組織だと思います。法律上では機能しているはずなのですが、社会をみると実際は違います

今回のストレスチェックは安全衛生委員会の審議が必要ですし、産業医の役割が中心に来ています。ここを機能できるようにまずはもっていくことが必要になったりします。

会社は実施義務があるけれども、個人は任意というストレスチェック。 嫌であればストレスチェックそのものを拒否できるようになっています。

お互いが相反する状況にあります。繁雑にみえますが、原則論に立ち返れば、理解できます。

今回のストレスチェック制度はメンタルヘルスの進んだ企業に基準をあわせたものではなく、最低限度の活動として位置づけられているものだと考えると、メンタルヘルスがまだ進んでいない組織には、メンタルヘルスの偏見が存在する組織があると想定できます。高ストレス者が面談を申し出てきた場合に不利益な取り扱いをしてはいけないとなっていますが、そのことを文言化しておかないといけない社会背景が現場ではあるのだと、私は思います。

このストレスチェックの導入にあたって、実施者等だけでなく、 組織経営者 管理者の人びとがメンタルヘルスケアの活動の意味や今回のストレスチェック制度の導入の本当の意味づけを理解するところから始めると、その後がスムーズになるということでしょうか。

法律だから仕方なくするのではなく、今回の法律で、メンタルヘルスの取り組みを本格化させるきっかけにさせられると、結局はモチベーションアップや組織力強化につなげられる方策にできることとなるでしょう。